収容所・命がけの恋

今年2015年は、第二次世界大戦の終戦から70年目を迎えます。
第二次世界大戦中、ドイツに侵攻され占領地となったポーランドに建設された「死の収容所」アウシュビッツ強制収容所が解放されたのも70年前。
そのアウシュビッツ強制収容所で、本当にあったナチス親衛隊と囚人ユダヤ人女性との危険な恋のお話です。
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実話をもとに製作された映画『シンドラーのリスト』は、リーアム・ニーソン演じるナチス党員でドイツ人実業家オスカー・シンドラーが、もとは自分が営むポーランドの工場の労働力として雇い入れたユダヤ人が、虐殺されたり、危険な目に遭うのを目の当たりにするうちに心に変化がおこり、少しずつ人間らしい心を取り戻し、最後には私財をなげうってでも一人でも多くのユダヤ人を救いたいと奔走するというストーリー。
このシンドラーに命拾いしてもらった生存者1100人が、終戦とともに開放され、その後世界各地に散ってゆき、今ではその”シンドラーの”子孫たちが6000人にものぼるとか。

今回の記事で紹介された、命がけの恋でユダヤ人女性の命を救ったのは、アウシュビッツ収容所で監視員として働いていたナチス親衛隊のフランツ・ウンシュ。
収容所に送られてきたユダヤ人のヘレナ・シトロバさんに恋してしまい、お菓子を差し入れたり、”好きだ”と書いたメモを彼女に渡したり、大胆ですね。

囚人たちを大量に処分するためのガス室。
明日は我が身か。
囚人たちは、何とかバス室送りをまぬがれて生き延びたいと、生き残るためなら何でもしたでしょう。

ヘレナさんも例外ではありませんでした。
同胞を次々に殺していくナチス、その手先の監視員のフランツ・ウンシュ。
殺したいくらい憎かったかもしれません。
でも、生きるために、彼女はその憎しみの感情を抑えて彼と性的関係すらもちます。
おかげで、彼女のお姉さんも、フランツ・ウンシュによって命拾いすることができたのです。

はじめは憎しみの感情だけだったのに、いつしか、ヘレナさんもフランツに深い愛情のような気持ちをもすら抱くようになるのです。

後年、フランツ・ウッシュは戦犯裁判にかけられるのですが、ヘレナさんと彼女のお姉さんがフランツ・ウッシュのために証言台にたっています。
「彼(フランツ・ウッシュ)は偉大なことをしました。私はユダヤ人であることを忘れ、彼がユダヤ人でないということも忘れ。正直、最後には、彼を愛してすらいました。」
フランツ・ウッシュ自身は、「彼女(ヘレナさん)と出会って、それまで残忍だった自分に変化がおきた」と語ったそうです。
オーストリア出身のフランツ・ウッシュは、オーストリアで戦犯裁判にかけられましたが、無罪判決を受けたそうです。

ヘレナさん(左)とお姉さん(右)
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フランツ・ウッシュが救ったのは、たった二人。
それに対して、彼がガス室へ送りこんで虐殺したユダヤ人は何百人か何千人かわかりません。
決して彼を美化するつもりはありませんが、命の危険もかえりみず、好きになってしまった囚人女性とその姉を救いたいと思った彼の純粋な気持ちには、わずかでも人間としての”良心”があったのだと思いたいです。
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Auschwitz’s forbidden love: The disturbing real-life story of Jewish death camp inmate who saved her family from the gas chamber by falling in love with SS guard
http://www.dailymail.co.uk/news/article-3193520/Read-real-life-story-Auschwitz-prisoner-Helena-Citronova-falling-love-SS-guard-Franz-Wunsch-amid-controversy-Kate-Breslin-novel-Time.html